確定申告・年末調整

配偶者控除、配偶者特別控除の改正!年収制限が150万円に拡大された影響

投稿日:2017年6月7日 更新日:

以前に比べ働き方がかわり、共働き世帯が増加しています。共働きをされている人の中には、扶養の範囲内で働こうとしている人たちが多いです。

一時は配偶者控除の廃止が議論されていましたが、改正で配偶者控除は縮小、配偶者特別控除配偶者控除と同じ最高38万円の所得控除を受けられる年間の給与収入が103万円超から150万円以下に引き上げられました。

これだけだと最高38万円の所得控除が適用される所得が引き上げられてよかったと感じますが、実際にはそうではありません。所得の金額によって配偶者控除の額が縮小されます。

実際にどれだけ影響があるか考えてみます。

気になる事があったので税務署の電話相談センターに問い合わせたところ一部勘違いがあったので訂正、追加をしています。(平成29年6月8日)

聞いてみた内容

扶養控除の所得は38万円(給与収入103万円)以下のままなのに、配偶者控除だけ85万円(給与収入150万円)以下になるのっておかしくない?と思って税務署の電話相談センターに聞いてみました。聞いた内容は以下の通りです。

税制改正で配偶者控除は103万円以下から150万円以下に引き上げられるのですか?

配偶者の所得が38万円(給与収入103万円)以下であれば、扶養する人の所得は関係ないのですか?

ご協力下さった方本当にありがとうございます。

税制改正で配偶者控除は103万円以下から150万円以下に引き上げられるのですか?

配偶者控除は今まで通り配偶者の所得が38万円(給与収入103万円)以下の場合に受ける事ができます。最高38万円の所得控除が受けられる配偶者特別控除が、配偶者の所得が38万円(給与収入103万円)超から85万円(給与収入150万円)以下に変更になっています。

配偶者の所得が38万円(給与収入103万円)以下であれば、扶養する人の所得は関係ないのですか?

扶養する人の所得が900万円を超えると控除額がかわります。

この回答で納得しました。配偶者控除は扶養控除と同じく年間の合計所得金額が38万円(給与収入103万円)のままでした。しかし、扶養する人の所得が900万円を超えるとやっぱり控除額がかわるそうです。

配偶者特別控除で最高38万円の所得控除を受けられる配偶者の所得が、38万円(給与収入103万円)超から85万円(給与収入150万円)になっています。同じ所得控除38万円でも実際には内容が違います。

配偶者特別控除は、配偶者の所得が38万円(給与収入103万円)を超えても所得の金額に応じて所得控除が受けられるものです。配偶者控除の38万円と配偶者特別控除の38万円を同じと思い配偶者控除が拡大されたと勘違いしてしまうので注意しましょう。

私は勘違いしてしまいました...。

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従来の配偶者控除とは

改正の内容の前にまずは、従来の配偶者控除について確認します。

控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件の全てに当てはまる人です。

  1. (1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
  2. (2) 納税者と生計を一にしていること。
  3. (3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
    (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. (4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

引用元:国税庁

簡単に言うと、生計が同じ配偶者の年間の所得が38万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)であれば、配偶者控除を受ける事ができます。しかし、青色申告者の事業専従者白色申告者の事業専従者は該当しないという事です。

従来の配偶者控除であれば、配偶者の所得金額が38万円以下かどうかを考えるだけでした。これが改正により見直しがされています。

改正後の配偶者控除

わかりやすくするために、

夫の方が所得が多く、妻は夫の扶養

として考えます。

従来の配偶者控除であれば、妻の所得が年間38万円以下であれば夫の扶養となり、38万円の配偶者控除を受ける事ができ、夫の所得は関係がありませんでした。しかし、改正後の配偶者控除は夫の所得が関係してきます。

夫の所得 控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円
1,000万円超    0円    0円
所得だとわかりにくいので、年間の給与収入にしてみます。

夫の給与収入 控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
1,120万円以下 38万円 48万円
1,120万円超1,170万円以下 26万円 32万円
1,170万円超1,220万円以下 13万円 16万円
1,220万円超    0円      0円
となります。給与所得控除が平成29年分から変更になるため、夫の給与収入は平成29年分にしています。

夫の所得が1,000万円(給与収入1,220万円)超であれば、配偶者控除は適用できなくなっています。さらに、段階的に配偶者控除の額が縮小されているので、所得が900万円(給与収入1,120万円)超の人は税金が増えます。

ちなみに、老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人の事です。

所得900万円(給与収入1,120万円)超だと税金にどれだけ影響があるか

所得900万円(給与収入1,120万円)超の場合、税金にどれだけ影響があるか考えます。

前提条件

・復興特別所得税は影響させない

・住民税の税率は10%(所得割、均等割は除外)

・所得控除は基礎控除と配偶者控除のみ

・老人控除対象配偶者は除外

夫の給与収入 所得税 住民税 合計
1,120万円以下 0円 0円 0円
1,120万円超1,170万円以下       27,600円 11,000円 38,600円
1,170万円超1,220万円以下 57,500円~82,500円 22,000円 79,500円~104,500円
1,220万円超 82,500円 33,000円 115,500円
*社会保険料控除や、生命保険料控除等がある場合は、実際の計算結果とは異なりますのであくまで目安として下さい。

想像していた以上に税金が増えます。基礎控除配偶者控除等の所得控除を引いた後の所得が900万円以下の税率は23%、900万円を超えると33%となります。

所得900万円(給与収入1,120万円)以下だと税金にどれだけ影響があるか

先程とは逆に所得900万円(給与収入1,120万円)以下の場合、配偶者控除配偶者特別控除の38万円の所得範囲が拡大された事によって税金にどれだけ影響があるか考えます。

前提条件は先程と同じですが、

・改正前は配偶者特別控除を受けていない

事を追加します。

夫の所得 所得税 住民税 合計
195万円以下 △19,000円 △33,000円 △52,000円
195万円超330万円以下 △38,000円 △33,000円 △71,000円
330万円超695万円以下 △76,000円 △33,000円 △109,000円
695万円超900万円以下 △87,400円 △33,000円 △120,400円
所得だとわかりにくいので年間の給与収入にしてみます。

夫の給与収入 所得税 住民税 合計
3,244千円以下 △19,000円 △33,000円 △52,000円
3,244千円超5,016千円以下 △38,000円 △33,000円 △71,000円
5,016千円超9,055千円以下 △76,000円 △33,000円 △109,000円
9,055千円超11,200千円以下 △87,400円 △33,000円 △120,400円
*社会保険料控除や、生命保険料控除等がある場合は、実際の計算結果とは異なりますのであくまで目安として下さい。

今まで配偶者控除が受けれていなかった人が、今回の改正によって配偶者控除配偶者特別控除の38万円を受ける事ができるようになった場合、税金は減りそうです。

扶養となる配偶者の影響

改正後の配偶者控除によって、扶養にしている夫の税金に影響がありそうなのはわかりました。では、妻は配偶者控除38万円の所得控除の適用される金額が、103万円以内から150万円以内に拡大される事によってどのような影響があるでしょうか。

給与収入が150万円となれば、所得税や社会保険料が発生してきます。

前提条件

・復興特別所得税は影響させない

・住民税の税率は10%(所得割、均等割は除外)

・所得控除は社会保険料控除、基礎控除のみ

・社会保険料率は14%(介護保険は除外)

前提条件を基に、住民税が非課税となる100万円、従来の配偶者控除の制限である103万円、大企業に勤めている人の社会保険の扶養基準の106万円、それ以外の社会保険の扶養基準の130万円、改正後の配偶者控除38万円の所得控除の制限である150万円で比べてみます。

金額 社会保険料 所得税 住民税 差引後
100万円 0円 0円 0円 1,000,000円
103万円 0円 0円 5,000円 1,025,000円
106万円 148,400円 0円 0円 911,600円
130万円 182,000円 4,400円 13,800円 1,099,800円
150万円 210,000円 13,000円 31,000円 1,246,000円
*生命保険料控除等がある場合は実際の計算結果とは異なりますのであくまで目安として下さい。

社会保険料を支払った場合は将来の受け取る年金に影響があります。

社会保険の有無によって手取り金額に違いがでてきます。社会保険が加入になり、扶養ではなく自分で納付する事になれば150万円以内まで働いた方が手取りが増えそうです。

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配偶者控除、配偶者特別控除の改正の適用時期

配偶者控除配偶者特別控除の改正は2018年(平成30年)の1月から開始される事になります。

まとめ

配偶者控除、配偶者特別控除が改正される事によって、税金が増えたり減ったりと影響がでる人は多そうです。

今回の改正で、夫婦どちらも所得の金額を確認しておく必要があります。特に所得が900万円を超える方は配偶者控除の金額が縮小されているので、配偶者控除の金額を間違えないように注意が必要です。さらに、所得が1,000万円を超える人は配偶者控除が適用できないので同じく注意が必要です。

サラリーマンにとって今回の改正は影響があるでしょう。

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しおり
配偶者控除、配偶者特別控除の改正で少し複雑になったね。

確かにね。でも、ポイントは150万円以内と所得の900万円と1,000万円だよ。
ヒロ

あや
副業している人にとっても今回の改正は注目しているわ。副業の所得が20万円以下の場合と一緒に考える必要がありそうね。

 

 

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税理士を目指して勉強中の30代、2児のパパ。子供の寝顔に癒される。 サイト名が「スマート家事術。」なのに、税金のコンテンツが一番多い事に違和感を覚えつつも更新を続ける。 【取得資格】税理士試験簿記論、貸金業取扱主任者、BATIC(Accoutant Level)等

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